もふるの日記

心身ともに健やかであること

「頑張る」アプローチは若者の特権

会社で360度評価的なものをしてもらった。
自分の思っていた強み・弱み(もっと期待すること)と周囲から見たそれをすり合わせ、どのように自分の強みを伸ばすか、どう組織に貢献するか、を考えるアプローチだった。
考えたことがあるので残しておく。

 

平成の体育会系出身としては、とにかく頑張れば報われる、やってだめならもっとやれ、という思想で育ってきた人も多いだろう。

体育会系に限らず、勉強なんかでも、苦手なことに頑張って取り組み、できなかったことができるようになることを評価するのが学校教育だ。
最初から上手くできる人より、苦手なことに取り組みちょこっと上達した人を評価する仕組みだが、社会に出ると結果重視、数字を出した者を評価するのが、会社組織だ。
(まれに、頑張ったプロセスを評価する会社もあるらしい。何がビジネス的にあたるかわからないご時世、チャレンジしたことを評価するのも一理だ。)

ただ、若いうちは、苦手なことでも粘り強く取り組めばそれなりにできるようになる。
データがあるわけではないが、経験的にもそんな気がする。
困難なことでも、体力に任せて時間をかけて粘り強く取り組めば、なんとかできてしまうのは、受験勉強から大学の提出物から文化祭の準備から新入社員の頃の仕事からと枚挙に暇がないし、社会に出て若いうちはそれだけが取り柄だったりもする。
そもそも最初から仕事ができる人は少ないので、粘り強く取り組むことで獲得するスキルや見えてくる性質もある。
(若い時の苦労は買ってでもしろ、というのは死語になりつつあるが、無駄な努力と有意義な努力というのは間違いなくある。)

しかし、歳を取るとそうもいかなくなる。
新しいことを学習し身につけるコストは若いときよりも高くなるし(学習の仕方が身についてるはずなんだけどな)、粘り強く取り組む体力も昔ほどはない。

そこで大事になるのが、自分の性質を理解し、仕組みを作って上手くやるアプローチだ。
これを間違うと、痛い。

 

働かないおじさんというのがいる。

在籍年数だけ長く会社の戦力にならないのに高給取りで、給与泥棒と言われる人たちだが、意外とやる気はあるという調査結果がある。

 

mainichi.jp

 

抜粋する。

 

大きく低下したのはハードワーク許容度。例えば「やりたい仕事であれば、仕事以外の時間が削られても仕方がない」の設問では、アンケート回答時点が29・8%、就職活動時点は49・3%だった。

 (中略)

 「中高年の多くは定年退職に近づくにつれ、自分の裁量がなくなったり、報酬が下がったりしていきます。やる気がなくなる職場環境になっているのに、内的報酬は高いままなんですね。職場が活躍できる機会を提供すれば、いきいきと働けるのだと思います」

自分の性質を理解し、それを上手く使って会社に貢献する仕組みを作れば、会社もおじさんも周囲もハッピーなのだろう。

これを構築できなかった「働かないおじさん」も残念だが、マネジメントの要諦の一つは適材適所なので、彼らを上手くマネジメント出来なかった上層部も残念だ。

 

自分の性質を理解するというのは、強みを知るのみならず、弱みを受入れ、できないことをある種諦めるマインドが必要になる。

これを腹落ちさせるには、ツラさが伴う。
ともすれば、自分の弱みを受入れられず、頑張れば克服できる、得意にならないまでもなんとかなる、と若かりし日や体育会系のマインドを思い出してやろうとするが、もはやそれをやりきる気力や体力がないのがおじさんである。

 

若いときは、出来ないことのほうが多かった。
それを努力してできるようになるのが成長の過程であり、成果をあげるアプローチだった。

おじさんになってからは違う。
できないことをできるように頑張るのではなく、自分の性質を理解し、それを上手く活かす仕組みを作ってビジネスに貢献するのが、新しいゲームだ。
若い頃とは違った努力が必要だ。

言うは易く行うは難し。